小出裕章ジャーナル

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関電の歴代総理ヤミ献金スクープと日米原子力協定について「政治家はひたすら核兵器を持ちたい、電力会社はとにかく金儲けをしたい、少しぐらい危険でも、過疎地に押し付けておけばいいだろうとやってきた訳です」〜第83回小出裕章ジャーナル



ラジオ放送日 2014年8月8日〜15日
Web公開 8月16日
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西谷文和:
先日、朝日新聞のスクープがありまして、関西電力が元副社長の内藤千百里(ちもり)さんという、91歳の方なんですが、この方が証言されて、歴代総理に2千万円もの闇献金をしていたという記事が出たんですが、この記事を先生も読まれて、まずどういうふうにご感想持たれましたですか?

小出さん
「原子力発電所なんて、安全だとは一度も思ったことがなかった」と、ご自分でおっしゃってるわけだし、そう思いながらも政治家に金を渡して、原子力を進めてきてしまった張本人のひとりだったわけですね。それが福島第一原子力発電所の事故を目の当たりにして、やはり発言をしようと決意をしたということで、まっとうな方だと思います。

西谷:
私もそう感じました。91歳にして、述べ69時間のインタビューに答えられて、そして、実名で歴代総理の名前も挙げて、中曽根総理大臣、竹下総理大臣に献金をしたということなんですよね。この中曽根さん竹下さん、1987年88年頃の総理大臣なんですが、この時に、日米原子力協定が改定されてるんですよね?

小出さん
そうですね。もともとは、55年に一番初めのが出来て、68年に改定されたものができて、20年経った88年に、今現在発効している日米原子力協定が作られました。

西谷:
はい。この協定読みますと、第5条に「核燃料の再処理ができる」とあるんですよね。それから第6条に「日米政府はウランの濃縮を20パーセントまで認める」とありまして、さらに、「日米が同意すれば20パーセント以上の濃縮も可能だ」というふうに書かれてるのですが、これは、小出さん、明らかに核兵器を造ろうと思えば造ろうということでしょうか?

小出さん
そうです。もともとウランという物質は、地球上にあるわけですけれども、そのウランの中には、核分裂する能力を持ったウランと核分裂する能力を持っていない、いわゆる役立たずのウランの2種類がありまして。

西谷:
ウラン235とウラン238ですかね?

小出さん
そうです。おっしゃる通りです。核分裂する能力を持ってる235の方は、全体の0.7パーセントしかないのです。

西谷:
天然ウランには、それしか入っていないということですよね?

小出さん
そうです。ですから、その火を点けることすらが難しいということで、現在、日本で使っている原子力発電所の場合には、ウラン235を0.7パーセントから4パーセントあるいは、5パーセントぐらいまで濃縮して、ようやくにして原子炉の中で燃やしているのです。

西谷:
ウラン濃縮工場があって、そこで濃縮作業をしないと使えないということですね?

小出さん
そういうことです。はい。ただし、もし原爆等を作ろうとするのであれば、4パーセント、5パーセント等というのでもやはりダメだと。核分裂性のウランが90パーセントぐらいは欲しいということで、もっともっと濃縮ということをやらなければいけないわけです。

ただし、濃縮工場というものを作ってしまえば、その運用というものはどうでもできますので、4パーセント、5パーセントの濃縮工場を造ってしまえば、もちろん20パーセントの濃縮ウランを造ることも可能ですし、運用によっては、90パーセントの濃縮ウランを造ることも可能なのです。

西谷:
ということは、これは北朝鮮とかイランから見ますと、もう既に日本は20パーセント以上の濃縮可能だという協定を結んでおれば、なんで私達だけが責められるんだという、こういうことも言えますよね?

小出さん
もちろんそうです。ですから、イランはもともと自分達がやってるのは原子力の平和利用なのであって、「自分の国で研究用の原子炉を動かす。そのためには20パーセントの濃縮ウランが必要だからやってるだけだ」と始めから一貫してそう言っているのですね。

それは、いわゆる主権国家として当然の権利なのであって、誰からも妨害される言われはないと言ってるわけで、私はもちろんその通りだと思います。ただし、4パーセントであろうと20パーセントであろうと、濃縮ウランを作る能力を持ってしまえば、90パーセントのウランを作ることも出来てしまうという、技術というものは、そういう物なわけですから、米国あるいはヨーロッパから見れば、イランという国にはそんなものを持たせたくないという、そういう国際政治上の力学で、今イランが非難されているわけです。日本は米国の属国なわけですから、米国としては「日本はまあいいよ」と言ってるという、そういうことです。

西谷:
この90パーセント程度のウラン濃縮というのは、これは広島型の原爆ができるということですね?

小出さん
そういうことです。

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西谷:
再処理ができるということが第5条であるんですけど、これは再処理してプルトニウムを取り出すことができるということですね?

小出さん
おっしゃる通りです。原爆には2種類ありまして、広島に落とされた、ウランで造られていた原爆と、長崎に落とされた、プルトニウムという物質で造られていた原爆の2種類があるのです。

日本はすでに、広島型の原爆を作るための濃縮技術というものを懐に入れてしまっていますし、あとは、米国の同意さえあれば、いくらでもできてしまうという状態まで、今来ているわけです。

そして、長崎の原爆プルトニウムという物質を造ろうとすれば、まずは原子炉を動かして、プルトニウムを、自然界には全くありませんので、プルトニウムを造らなければいけない。でも、作っただけでは原爆の材料にはなりませんので、原子炉の使用済み燃料の中からプルトニウムを取り出すという作業がどうしても必要になるのです。

それが再処理という技術なのであって、米国は他の国には絶対に再処理を認めないという政策で来ましたし。

西谷:
そうですね。韓国にも認めさせませんね。

小出さん
そうです。一切、他の国には認めないと。いわゆる、核兵器保有国5カ国だけはもういいんだと。それ以外の国には再処理は認めないということでやってきたのですけれども、日本だけは「お前は子分だから、まあ認めてやるよ」と「原子力協定を結べよ」ということで、今現在まで来ているわけです。

西谷:
簡単に言えばですね、5条で再処理ということは、これは「長崎型の原爆を作ってもいいよ」ということで、6条で「ウラン濃縮してもいい」ということで、「広島型原爆を造ってもいいよ」ということでしょうか?

小出さん
そうです、米国としては一応、原子力協定というものを結んで、日本というものを自分の属国の下に縛り付けておくということをやっているわけです。いざとなれば、それを解き放って日本を核兵器保有国にして、また中国なり何なりの防波堤に使おうと思ってるのだと思います。

西谷:
ということは、政治家達は核兵器を持ちたい。関西電力や東京電力は原子力で儲けたい。この両者の野合で、癒着で進められて、そして福島みたいなことが起こったと、 こういうことでしょうか?

小出さん
はい、おっしゃる通りです。政治家がひたすら核兵器を持てる力を持ちたいと思ってきたわけですし、電力会社を含めて、原子力に群がった産業は「とにかく金儲けをしたい」と、両者が集まって、とにかく原子力を進める。

「少しぐらい危険でも、過疎地に押し付けておけばいいだろう」ということでやってきたわけですけれども、残念ながら福島第一原子力発電所で、ほんとに恐れていた事故が起きてしまったのですね。

内藤さんご自身はそれで反省して、今のような証言をするようになってるわけですけれども、ほとんど誰一人として責任を取っていないわけです。

西谷:
そうですね。

小出さん
もう正義の大犯罪だと私は思いますし、責任者を必ず処罰したいと願います。

西谷:
戦争でも責任を取らない。原発事故でも責任を取らない国だということですね。

小出さん
そういうことです。

西谷:
はい、先生今日はどうもありがとうございました。

小出さん
こちらこそ、ありがとうございました。



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