小出裕章ジャーナル

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福島第一原発廃炉の現状について(2)「廃炉カンパニーを分社化して、全ての責任をそこに押し付けて、東京電力の本体自身は無傷のまま生き延びる。 全く間違えていると私は思います」~第72回小出裕章ジャーナル



ラジオ放送日 2014年5月23日〜30日
Web公開 5月24日
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石丸次郎:
これまで番組では、何度か福島第一原発の廃炉作業について取り上げてきました。最近では、廃炉作業を担う作業員の被ばくの深刻さについても小出さんにお話を伺いましたが、今日は、今後40年、50年かかるとも言われている廃炉、この作業の現状についてお話を聞きたいと思います。

4月に東京電力は、廃炉カンパニーという分社化して、廃炉カンパニーという廃炉専門の会社を作りました。この動きについては、小出さんはどう今お感じですか?

小出さん
汚いやり方だと思います。

東京電力という日本を代表するような巨大な企業があったし、今でもあるのですね。それで、その企業が「自分の原子力発電所は絶対に安全です!」と言って動かしてきた原子力発電所が実は事故を起こした。そうであれば、東京電力というその会社自身が徹底的に責任を取るというのが本当のことだと思います。

もし、東京電力が自分がしでかした罪を償おうとするのであれば、東京電力は多分何10回倒産しても足りない程の被害が既に出ています。

それを東京電力自身は、国に肩代わりさせながらなんとか生き延びようとして今日まで来ているわけですけれども、また自分の社内に廃炉カンパニーを分社化して、全ての責任をそこに押し付けて、東京電力の本体自身は無傷のまま生き延びる。

今まで通り黒字の経営をするというようなことになってしまっているわけで、責任の取り方が全く間違えていると私は思います。

石丸:
なるほど。一方ですね、東電の業務から廃炉、それから汚染水対策を切り離して専念させるということが名目になってるわけですけれども、そうすることで、意思決定が早くなってトラブルに迅速に対応できると。国と共にオールジャパン体制で廃炉に取り組みますということなんですけども。この辺、効果の方はどうでしょうか?

小出さん
東京電力の中にキチッとしたチームを作って、そのチームが迅速に動くことが出来るようにすれば、それでいいのであって、わざわざ分社化するというようなことは意味のないことだと私は思いますし、責任を逃れるための汚い手口だと私には見えます。

石丸:
この分社化に対しては、小出さん非常に厳しいご意見をお持ちですけれども。それでは、現状の廃炉の進行具合について話をちょっと進めたいんですが。

小出裕章

小出さん
一番初めにやらなければいけない事は、使用済み燃料プールの中に、今まだ沈んでいる燃料を少しでも危険の少ない所に移さなければいけないという、その仕事です。1号機、2号機、3号機、4号機とも全て使用済み燃料プールが ありますので、全てのプールについて、それをやらなければいけません。

ただし、一番取っ掛かりやすかったのが4号機であるという理由と、4号機の使用済み燃料プールの中には、原子炉定期検査中であったこともあって大量の使用済み燃料が存在している。

そして、4号機の原子炉建屋は、使用済み燃料プールが存在していた、その階が大きな破壊を受けているということで、いつ使用済み燃料プールが崩れ落ちてしまうか分からないという、非常に危険な状態が続いてきたわけです。

ですから、とにかく今4号機の使用済み燃料プールから、使用済みの燃料を隣の共用燃料プールという場所に移動させようという作業が、去年の11月から始まりました。

作業自身も大きな危険を伴いますし、ひょっとすれば大中小様々な事故が起こる可能性がありますけれども、とにかくやらなければいけない。あまり、労働者の被ばく等が生じないようにやり遂げて欲しいと私は願っています。

石丸:
5月7日現在、4号機の燃料プールの燃料搬出作業は、1533本中の814本が外に搬出できたということが今発表されてますが、この工程は順調と言いますか、それなりに上手くいってるとみたらよろしいんでしょうか?

小出さん
はい。順調だと思います。約半分を運び出したと言ってるわけですね。約半年経ってるわけですけれども、東京電力としては今年度一杯で何とかしたいということを当初から言ってるわけで、もし、このまま大きなトラブルがなければ、今年の12月までになんとかやり終えてくれるかもしれないと、私自身も期待したいと思いますし、私は東京電力は犯罪者だと言って批判してるわけですけれども、この件に関しては、なんとか速やかに大きなトラブルがないまま作業を終えてほしいと思いますし、この件に関しては、東京電力にエールを送りたいと思っています。

石丸:
じゃあ、それではその他のいわゆる「溶融燃料の取り出し」、これが一番やっかいな問題で、1号機から3号機まで溶け出してしまった原子力燃料がどこにあるのかすら分からないような状態なんですけれども。現状、ここへの廃炉に向かっての取り出し作業、どういう状況に今あると見てらっしゃいますか?

小出さん
なんにも進んでいない。

石丸:
何も進んでいない。

小出さん
はい。私自身は、溶融したデブリが東京電力や国が描いているように、1カ所に饅頭のように固まっているという風には思っていないのです。

多分、溶け落ちたデブリは格納容器の中にあちこちに分散してしまっていると思いますし、例えば、壁にへばり付いてしまったりしているという、そんな状況だと思いますので、例えば100溶け落ちたデブリのうち50をなんとか回収したとしても残りの50が回収できないということになってしまうと思います。

50の回収のために、たくさんの労働者がたくさんの被ばくをしなければいけないと思いますので、もうそんなことをして、なおかつ50余らせてしまうのであれば、初めからデブリの回収ということは諦めて、チェルノブイリ原子力発電所の事故の時にやったように、石棺という形で封じ込めるのがいいのではないかと私は思います。

石丸:
なるほど。廃炉、まだまだ道は険しいということですね。

小出さん
東京電力、国は40年と言ってるわけですけれども、そんなことでは到底終わらないと私は思いますし、もちろん私は、とうの昔に死んでしまうだろうと思っています。

石丸:
はい。小出さん、ありがとうございました。

小出さん
ありがとうございました。



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