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アメリカが日本にウランとプルトニウムを返せと言ったわけは? 「高濃縮ウランやプルトニウムという物質を海外に出してしまうと、それがいつか原爆になってしまう危険性があるからです」〜第66回小出裕章ジャーナル



ラジオ放送日 2014年4月11日〜18日
Web公開 4月14日
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石丸次郎:
今日のテーマなんですが、「アメリカが日本にウランとプルトニウムを返せと言ったわけは」 ということでお送りしたいと思うんですが。

3月24日25日にオランダハーグで開かれた核セキュリティサミットで、 日本は米国に高濃縮ウランと分離プルトニウム331キロを返還するということが 発表されましたけれども。

よく分からないんですけども、このアメリカに借りていた 高濃縮ウランとプルトニウムを返すというのは、 これどういう事なんでしょうか?

小出さん
はい。 基本的に、高濃縮ウランとかプルトニウムという物質は原爆材料なのです。 例えば、私のところ京都大学原子炉実験所にも原子炉はありまして、 1964年に臨界という状態に達しました。 つまり、ウランの核分裂の連鎖反応が始められる状態になったのです。 その原子炉を作って京都大学に提供してくれたのは米国です。

そして、原子炉を提供する時に、その原子炉が動くように 高濃縮ウランも一緒に提供してくれました。 ですから、京都大学原子炉実験所でも高濃縮の原爆材料である 高濃縮のウランを使ってずーっと運転をしてきたのですが、 米国がある時に気が付きました。

こうやって高濃縮ウランやプルトニウムという物質を海外に出してしまうと、 それがいつか原爆になってしまう危険性があるという事になりまして、 京都大学原子炉実験所の場合は、確か1980年代の初めだったと思いますが、 米国がこれ以降はもう高濃縮ウランをやらないということになりました。

石丸次郎:
アメリカはもう提供しないという。

小出さん
そうです。はい。 それで、それまでに米国から提供受けていた高濃縮ウランが ちょっと様々な経緯があって、京都大学原子炉実験所にありまして、 それをとにかく使うということで 京都大学原子炉実験所の原子炉もずーっと動いてきたのですが、 今から何年だろう、10年にはなりませんが、10年近く前に とうとう燃料が尽きてしまったのです。 京都大学原子炉実験所の場合には。

それで、どうするかという事になりまして、ちょっとした改造をしまして、 今は中濃縮ウランというものを使ってようやく原子炉を動かしている。 原爆にはならないというウランでやっているのです。

ですから、米国としては海外に高濃縮ウラン、 プルトニウムというものを渡したくないし、 一度渡してしまったものも何とかして取り返そうとしてきたわけです。

日本の場合には、私は、日本は米国の属国だと思っているのですが、 日本が米国の属国である限りはまあいいだろうと言って、 お目こぼしをしてきてくれたのだと思いますが、 最近の国際情勢の動き、特に、安倍さんの動きを見ていて、 米国が少し牽制をしなければいけないと気が付いたのだろうと私は思います。

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石丸次郎:
なるほど。 日本には国内に10トン。 それから、海外の物も含めると44トンのプルトニウムを保有してると。 ということは、331キロというのは1パーセントですよね。

小出さん
はい。

石丸次郎:
これは、そうすると、これだけアメリカが返すということを求めてるということは、 他の物は日本で作られたということですか?

小出さん
はい。 44トンと今石丸さんがおっしゃって下さったのは、 日本の原子力発電所を運転して日本で作り出した物なのです。

ですから、基本的には米国の物では元々はなかったのですが、 日本の場合には日米原子力協定というのがありまして、 全ての核燃料物質は米国の規制の下にありますので、 場合によってはそれも米国に渡せというような話になるかもしれませんが、 今、日本が保有してる44トンのプルトニウムは、 核分裂性のプルトニウムが約70パーセントしか入っていないという、 そういうプルトニウムで、原爆の材料にはなりますけども、 高性能な原爆は作れないという、そういうプルトニウムなのです。

ただ一方、今米国が返せと言ってきた300キログラムの物は、 高性能な原爆が作れるプルトニウムなのです。 ですから、米国としては日本に渡しておくよりは、 もう使い道がないなら返させた方がいいと判断したのだと思います。

石丸次郎:
なるほど。 これは、日本がこのまま独自に核開発に進むかもしれない。 あるいは、日本からこの核物質が漏れ出してしまうかもしれないということを 憂慮してるということなのでしょうか?

小出さん
はい。 今、石丸さんが的確にご指摘くださったように、 米国は2つの点を危惧してると思います。 1つは安倍政権がこのまま放っておくと、 核武装の方に行ってしまいかねないという危惧と、 もう1つは日本にプルトニウムを置いておくと、 他の誰かに盗み出される危険が大きいという、その判断です。

例えば、米国の場合には原子力発電所も含めて、 プルトニウム等の核物質は厳重に軍が管理しています。 原子力発電所への外部からのテロ、サボタージュということに関しても 軍がキチッと管理をしているわけですけれども。 日本の場合には軍がないわけで、米国から見ると、 日本に置いておくと危ないという判断はずーっと昔からありました。

石丸次郎:
なるほど。 もう一方で、先ほどお尋ねしたように、 日本にはアメリカに返した331キロのプルトニウム以外のプルトニウムがあると。 ただ、質の高い爆弾を作れるものではないということなんですけども。

この残りの99パーセントですね、44トン。 日本国内に10トンあるというもの。 これに対しては、アメリカは放っておいてもいいという判断なんですかね?

小出さん
これまでは日本は米国の属国だからまあいいだろうというふうに 判断していたのだと私は思います。

ただし、あまりにも大量ですので、これから米国に引き渡せという話が 出てくるかもしれないと思いますし、 今現在イギリスにある分もあるのですが、それはイギリスが引き取ってもいい というようなことをつい先日も言い出しましたし、

日本は使い道のないプルトニウムは持たないという 国際公約をさせられていますので、実質的に使い道がありませんから、 場合によってはイギリスに渡す、あるいは、米国に渡す、 ということも起こりうるかもしれません。

石丸次郎:
なるほど。どうもありがとうございました。 小出さん、また宜しくお願い致します。

小出さん
こちらこそ、宜しくお願いします。



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