小出裕章ジャーナル

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福島第一原発主排気塔下の毎時25シーベルトについて 「20分いれば人が確実に死んでしまうと、そのくらいの量ですね」〜第54回小出裕章ジャーナル



ラジオ放送日 2014年1月17日〜24日
Web公開 1月18日
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石井:
東京電力が12月6日に、福島第一原発の屋外にある設備、主排気筒の下の部分で配管部分の放射線量が毎時約25シーベルトにのぼると発表しました。これは周辺の計測値から推定したそうなんですけれど、屋外の放射線量としては過去最高であるということなんです。

この原発の屋外で25シーベルト、推計ですが、これをお聞きになった時、小出さん何をお感じになりましたか?

小出さん
はい、25シーベルトと今石井さんが仰ったやつは、1時間当たりに25シーベルトを被ばくするという、そういう放射線量を東京電力が計測したということでした。

人間という生き物は放射線に被ばくすると様々な障害が出てくるわけですし、2シーベルトを被ばくすると死ぬ人が出てきます。そして、4シーベルトを被ばくすると2人に1人は死んでしまいます。

8シーベルトを被ばくすると、100%の人が死んでしまうというそのくらいの被ばく量なのです。1時間当たり25シーベルトということですから、仮にそこに20分人がいれば確実に死んでしまうとそのくらいの量ですね。

猛烈な放射線量ですし、これから作業をするに当たって労働者の被ばくということが大変心配です。

石井:
こんな高い放射線量が計測されたのはなぜだと小出さんは推測されますか?

小出さん
はい。この高い場所というのは、非常用ガス処理系というところの排管なのだそうです。東京電力によれば。

じゃ、そこは何が起きたのか、今、何があるのかというと、2011年3月11日に事故が起きて以降に、原子炉が溶けてしまったわけですし、格納容器という放射能を閉じ込める最後の防護壁の中の圧力がどんどん上がってきてしまいまして、格納容器が破裂してしまうという、そういう危機があったのです。その時にベントという作業をしまして、格納容器の中に漂っていたガス、まあ、放射性のガスなわけですけど、そういうものを全部環境に抜こうとしたことがあったのです。

それで弁を開いた時に、たぶんこの非常用ガス処理系の排管の中にも、ベントをした放射性物質を含んだガスが流れてきまして、固体のものなどがそこにたぶん溜まってしまったんだろうと私は思います。

小出裕章ジャーナル

石井:
東京電力はこれどうやって対処するんですか?

小出さん
いずれにしても除去しなければいけないです。ただし、猛烈な放射線量ですから近づくこと自身が難しいと思います。私たちがいわゆる被ばくを避けるという時に大切な原則というのが3つあるのですが、「時間」「距離」「遮蔽」といいます。

ですから、なるべく短時間で作業をしなさいということ、そして、なるべく離れたところから作業ができるように考えなさい。そして、さらには遮蔽ということで放射線が飛んでくるところから人々が作業をする場所までの間にいわゆる鉛の壁とかを作ってですね、被ばくを減らしなさい、そういう3つの原則があるのです。

このまま、1時間当たり25シーベルトという線量のあるところで人間が作業できませんので、まずは遠隔操作ができるような危機を開発するであるとか、遮蔽体を準備するであるとか、その上でできる限り短時間に作業を終えられるようにそういう計画を立ててですね、実行するしかないと思います。

石井:
そうするとですね。小出さんはもちろん僕以上にそうだと思うのですが、作業員の方の安全、生命の危機ということについて最も注意深く、丁寧に、大事にしなければならない、しかし、誰かが作業しなければならない、という大変なジレンマにぶつかってしまいますよね。

小出さん
そうですね。今、作業員の方々もですね、1年間に20ミリシーベルトまでで抑えなさい、そういう法律の体系で作業をしています。そうすると25シーベルト、2万5千ミリシーベルトですから、1000分の1時間で限度に達してしまう、つまり、3秒ですね、ですから、基本的にはもう作業できないわけですし、なんとか、距離、時間、遮蔽ということでやろうとするとは思いますけれど、次々と作業員の人たちの被ばくというのが限度に達してしまって、どうするのかな、作業員の人たちを本当に手配できるんだろうか、手配できるできないの前に、作業員の人たちの健康がどうなってしまうのだろうか、大変心配です。

石井:
小出さん、無謀なことをお聞きしますが、つまり、ここはもう放置してしまって、もっと広く遮蔽するというのは、素人考えで愚かですか?

小出さん
いや、そんなことはないと思います。たとえば、チェルノブイリ原子力発電所の事故というのが1986年に起こりましたけれど、チェルノブイリ原子力発電所の場合には原子炉建屋を丸ごと石棺というコンクリートの構造物で覆ってしまおうということになったわけです。

福島第一原子力発電所の場合には、1号機から4号機までみんな壊れてしまっていますので、もう取り出しというような作業は一切しないで、1号機から4号機まで全部石棺で覆うという選択がありうるだろうと私は思います。

ただし、それより前にですね、使用済み燃料プールの底に沈んでいる燃料だけは何としても取り出したいと東京電力も思っているはずですし、私もそうして欲しいと思いますので、その作業だけはやはりまずはやらなければいけないと思います。

そういう作業をやるためにも、屋外、あるいは屋内にある猛烈な被ばくを与えてしまう場所というのがあるわけですから、そこを何とかしないと作業自身ができないということになりますので、やらざるを得ないかもしれません。



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