小出裕章ジャーナル

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イランの核開発について 「核兵器に結びつかないようなということで、イランにももっともっと透明性を持って、情報を公開して欲しいと願います」~第51回小出裕章ジャーナル



ラジオ放送日 2013年12月27日〜1月3日
Web公開 12月28日
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聞き手:
今日はイランの核開発問題についてです。11月24日に、イランと米英仏独中ロの6ヵ国が、ウラン濃縮活動などの核開発の縮小と、その見返りにイランへの経済制裁を一部解除するということに合意しました。このイランの核開発協議はどのように見ていますか?

小出さん
いわゆる国連常任理事国という5ヵ国がありますね。アメリカ・イギリス、フランス、ロシア、中国ですけれども、それらの国々は核兵器を持っているからこそ、国連の常任理事国になっていられるという、そういう国際政治上のことがまずあるわけですね。

それらの5ヵ国が他の国には絶対核兵器を持たせない、と言って作った条約が核不拡散条約なわけですから私自身は、その条約自身に反対なのです。私はできる限り公平な世界を作りたいと思っていますので、核保有国だけは持ってよくて他の国には一切許さない、そのような条約そのものを認めたくないと思っています。

じゃあ、他の国がどんどん作っていいのかと言えば、もちろん私はそう思いませんので、イランも含めて日本もそうですけれども、核兵器を何とか作らないという体制の方に行くしかないだろうと思っています。

聞き手:
ウラン濃縮5%を超えるものに関しては停止をするというこの線引きについてご説明いただけますでしょうか。

小出さん
ウランという物質ですけれども、地球上あちこちにあるのですが、それを掘ってきた時に核分裂するウランと核分裂をしないウランと2種類あるのです。核分裂をするウランというのが原爆材料になったり原子力発電所の燃料になるのですが、それは掘ってきたウランの0.7%しかありません。

そんなものであっても、燃やしたいと思っても火がつかないのです。それで、なんとか苦労して火をつけようとするわけですけれども、今日日本で使っているような原子炉の場合には、燃えるウラン、核分裂をするウランを約5%ぐらいまで濃縮ということをやってようやく火をつけるのです。

もう一つはイランが主張しているように、研究のための原子炉を動かしたいのだと。研究のための原子炉であると、5%というような比率で燃えるようなウランがあると、そういう燃料では高性能な研究ができないということになりまして、せめて20%ぐらい核分裂性のウランを含んでいるというウランを使いたいということになります。

で、そのためにイランは自分のところでウランを濃縮して研究のために使いたいのだとして、20%というのをやろうとしてきたわけです。

で、さらにもっと言うならば、原爆を作ろうと思うときには90%以上の濃度で核分裂性のウランが欲しいということになるわけです。ですから、通常、私たちのようにウランを取り扱う人間では、5%、20%、そして90%というような数字を目安に使ってきたわけです。

イランはまあ、原子力発電所だけでよければ5%の濃縮のウランでいいわけですけれども、自分のところは研究のためのウランも動かしたいから20%を自前で作ると言ったのです。

しかし、そうしてしまうと5%から20%まで濃縮度が増えてしまうわけですし、そのまま進めてしまうと90%ということもできてしまうだろうということで、欧米各国が大変心配してイランには濃縮をさせないというそういうタガをはめようとしてきたのです。

小出裕章ジャーナル

聞き手:
このウラン濃縮を監視させよ、ということを欧米政府はずっと要求してきました。見せたり、見せなかったりと、あるいは、我々の国際的に平等に保証されるべき権利であるという立場をイランは取ってきました。小出さんは兵器転用を目的として濃縮活動を進めるというふうに受け取られてきましたか?

小出さん
えっと、それはちょっと問題があると思うのですが、たとえばウラン濃縮という技術ですけれども、原子力発電所の燃料を作るためにもその技術が必要なわけですね。

研究炉の燃料を作るときにも必要なわけですし、核兵器を作ろうと思えばまたその技術が必要なわけですね。しかし、それは同じ技術なのです。

要するに平和利用だと言おうと、あるいはもろに核兵器のためだと言おうと技術自身は同じものなのです。

たとえば、日本ではですね、原子力というとあたかも平和利用で、核といえば軍事利用だというように言葉が使い分けられてきたのですね。でもたとえば「nuclear weapon」といえば核兵器ですけれども「nuclear power plant」といえば、原子力発電所と訳して使い分けてきました、日本では。

では「nuclear development」はどういうふうに訳すかというと、それをイランがやる時には「核開発」と訳す、そして日本がやる時には「原子力開発」と訳すんですね。

私はそういう訳し方が大変汚いやり方だと思っていまして、もしイランがウラン濃縮をするのを核開発だと訳すのであれば、日本もウラン濃縮をしているわけですから、ちゃんと核開発だと訳すべきだと思うのですが、イランは悪い国だから核開発、日本がウラン濃縮するなら原子力開発でいいものだというような情報操作がずっと行われてきたのですね。そのことにまずは私たち自身が注意しなければいけないと思います。

で、イラン自身は自分たちがやっているのは平和利用だとずっと言い続けているわけで、もし、日本がずっと平和利用だと言い続けて原子力開発だと訳してきたわけですから、イランが平和利用だというならば、原子力開発と訳さなければいけないと私は思います。

そういうところでも、公平性を欠いた報道だな、私は常々不愉快に思ってきました。

ただし、先ほどから聞いていただいているように、平和利用であろうと軍事利用であろうと技術は同じですので、イランという国がウラン濃縮をどんどんやってしまうということに関してはやはり注意をしなければいけないと思いますし、核兵器に結びつかないようなということで、イランにももっともっと透明性を持って、情報を公開して欲しいと願います。



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