小出裕章ジャーナル

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福島第一原発事故の子どもたちへの影響について「成長途上にある子どもというのは、一番放射線に敏感です」~第50回小出裕章ジャーナル



ラジオ放送日 2013年12月20日〜27日
Web公開 12月21日
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聞き手:
今日は福島第一原発事故による子どもたちへの影響についてお聞きしたいと思います。

小出さん
放射線というのは子どもであろうと大人であろうとどんなに低線量であろうと危険です。ただし、同じ被ばくをした時に、子どもは大人に比べてはるかに大きな危険を背負わなければいけません。

なぜかというと、生き物というのは自分の情報、遺伝情報というものをみんな持っているわけですし、人間の子どももそうですけど、一番はじめの命というのは母親の卵子と父親の精子が合体してできたたったひとつの細胞なのですね。

そこに遺伝情報というのが書き込まれているわけですが、細胞分裂というのをやりまして、はじめ1個だったものが2個になる、それが4個になっていくという形で、どんどん大きくなっていくわけです。

その時に必ず遺伝情報を間違えないで複製して渡していくということをやりながら生き物が生きていくわけです。はじめ1個だった細胞がどんどんどんどん細胞分裂を繰り返して、胎児として生まれてくる時には、一丁前の人間の体をして生まれ落ちてくるわけですね。

でもその後もどんどんどんどん細胞分裂を繰り返しながら、大きくなっていくわけです。毎日見ていたって面白いほどに赤ん坊というのは成長していくわけですし、ちゃんと遺伝情報を複製しながら命というのを維持しようとしているわけです。

そういう状態で細胞に傷を受けてしまう、遺伝情報に傷を受けてしまうということになりますと、傷を受けた遺伝情報を次々と複製してしまうということになりますので、成長途上にある子どもというのは、一番放射線に敏感だということになってしまいます。

小出裕章ジャーナル

聞き手:
チェルノブイリ周辺では、甲状腺がんの子どもたちが急増したというデータがあります。母乳や水、それから食べ物を介して、放射性ヨウ素が子どもたちの体に蓄積されたと言われています。まずこの放射性ヨウ素ってなんですか。

小出さん
ホルモンを作っているのは、人間の場合、甲状腺というところで作っています。喉の両側にあるとても小さな臓器でして、そこでホルモンを作り出して全身に送り出しているわけですが、そのホルモンを作るためにヨウ素という元素が必ず必要だとそういう生き物なのです。人間は。

ただし、自然界にあるヨウ素というのは、番号で言うと127番という番号のついたヨウ素でして、放射能を持っておりません。

人間が原子力というのを利用してしまいますと、127番ではない、131番であるとか132番、133番という様々な番号のついたヨウ素を作ってしまうのです。そして、そういうヨウ素は放射能を持っているのです。

人間の側から見ると、元々あった127番のヨウ素も新たに作り出した別の番号のヨウ素も、同じヨウ素にしか見えませんので、そういうものが環境に出てしまいますのと喜んでそれを甲状腺に蓄積していってしまうわけです。

そうすると、甲状腺が傷を受けて、甲状腺腫瘍、あるいは甲状腺がんというものを作ってしまうことになるわけです。

聞き手:
小さな子どもを持つお父さんお母さんにまずはこれだけはしてくれということがありましたら、アドバイスをお願いします。

小出さん
福島の事故というのは残念ながら起きてしまいました。それを防げなかった責任というのは様々な方々に、様々な重さであると思います。原子力の旗を振ってきた人たちは重たい責任があると思いますし、私にしても原子力の場にいる人間としてそれなりの責任があると思います。

ただ、日本で生きてきた大人の人というのは、これまで原子力をここまで許してしまった責任が何がしかあると私は思います。

ただし、子どもは原子力を選んだ責任がないわけですし、先ほども聞いていただいたように被ばくに関しては危険を一手に引き受けてしまうというような生き物ですので、今、日本で生きている大人の責任として、何としても子どもの被ばくを少なくするということが必要だと私は思います。

そのために、できることは山ほどありますけれども、一番いいことは、本当は子どもを汚染地帯から避難させることです。

それが生活上困難であるというのであれば、一週間でもひと月でもいい、短い単位であってもいいから、汚染地からできる限り子どもを遠ざけるというようなことをやっていただきたいと思います。

それから、もし可能であるならば、子どもたちが食べるもの、家庭で食べるものもそうですし、特に私は学校給食というもの、子どもが食べるというものに関しては、できる限りきちっと検査をして子どもたちには汚染の少ない食べ物を回すという体制を作るべきだと思いますので、それを大人の責任として皆さんに考えていただいて、行政に働きかけるなり何なり、工夫を凝らしてやっていただきたいと思います。



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