小出裕章ジャーナル

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特定秘密保護法で原発情報はどうなるのか?「そんなものがあろうとなかろうと、すでに日本の原子力は秘密だらけでした」~第49回小出祐章ジャーナル



ラジオ放送日 2013年12月13日〜20日
Web公開 12月14日
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第49回小出裕章ジャーナル

今西:
今日はゲストに双葉町の町長でいらっしゃった井戸川(克隆)さんにもお越しいただいております。

小出さん
はい、よろしくお願いします。

井戸川:
よろしくお願いします。

今西:
国会で特定秘密保護法が審議されまして、この番組がオンエアになる頃は可決されているかなというところもあるのですが、賛否色々ある法律なんですけども、大臣とか役所がですね、これは特別秘密にするぞと指定するとですね、まあ公開しなくていいというものなんですけども、やはり見過ごせないのは原発についてだと思うんですね。

担当大臣なんかは「原発は特定秘密ではない。しかし、原発警備は特別秘密だ」と述べています。まあ、原発警備、テロ対策なんかに関することかと思うんですが、もともと原子力基本法では、原発は「自主・民主、公開」というのが3本柱でして、非常に矛盾を感じるのですが、いかがお考えでしょうか?

小出さん
元々「自主・民主・公開」というのは、日本学術会議といういわゆる学者の国会があってですね、原子力を政治に勝手に任せてしまうと問題が生じるということで、「自主・民主・公開という3つの原則を守るようにということで、学術会議が出したものです。

ただし、原子力基本法ができた時には、「自主・民主・成果の公開というように、成果という言葉がわざわざそこに滑り込まされたのです。つまり、何かの研究の結果で最終的なものを公開するけれども、それより前のものは公開しなくてもいいという、むしろそういう意味合いが込められて法律自身ができました。

ですから、ほとんど恣意的に運用されるわけですし、原子力の情報というのはほとんど公開されないまま、今日まできてしまいました。

今西:
ある意味、成果という言葉があるので、都合の悪いことは公開されてこなかったというわけですね?

小出さん
私自身も、原子力発電所の安全性を問題にして、裁判などで戦ったことはありますけれども、裁判でも証拠がまずは出てこない。出てきたらみんな墨で消されているというそういう状態がずっと続いてきました。

今西:
たとえば、原発の構造、原子炉圧力容器なんかはですね、たとえば、こんな金属でこんな素材が使用されてこんな分厚さですと、これは安全性PRのために公開されてきたわけですね。

小出さん
そうですね。

今西:
一方逆に考えるとですね、テロをしようというような人にとっては非常にプラスになる情報なわけですよね。

小出さん
そうですね。

今西:
こういうごく当たり前の情報すら、出てこなくなるのかなと危惧するのですが…。

小出さん
これまでも、出てこなかったのです。たとえば、日本で原子力発電をやるという目的のひとつに核兵器をつくる潜在的な能力を持ちたいという思惑がありました。

その潜在的な能力の一番大切なものは、プルトニウムという長崎原爆の材料だったのですけれども、そのプルトニウムの情報というのは、少なくともほとんどみんなこれまでも秘密にされてきましたし、そのままプルトニウムが含まれているということで使用済み核燃料の輸送すらがみんな秘密のまま行われてきました。

これまでも、今、特定秘密保護法ですけれども、そんなものがあろうとなかろうと、すでに日本の原子力は秘密だらけでした。

今西:
また新たな法律が加わってということなので、より縛られていくのかなと思ったりするのですが…

小出さん
これまでも原子力に関する情報というのは、研究者という段階でもかなり秘密にされてきまして、公開するためには組織としての許可がいるとかですね、そういうことでじりじりと縛られてきたのですけれども、今後はますますそれが厳しくなるでしょうし、おそらく研究者一人ひとりが自分自身でタガをはめていくという、自粛をしていくというそういう流れが一番恐ろしいと私は思います。

小出裕章ジャーナル

今西:
なるほど、そうですね。で今日は井戸川さんからも小出さんに聞いてみたい質問があるということなんですけども…。是非何か聞いていただければと思うのですが…

井戸川:
私は常々反対しているのは放射能の被ばくの許容値ですね。限度値。これはもう一人ひとり違うと思うんですね。受忍する限界値というのは。しかしこれを国が決めると…。一方的にですね。住んでいない、そこに住むことはない人たちが決めるという決定プロセスが非常に前近代的な、文明開化を経ていないような人たちが大手を振って決めていることに反対なのですが、先生どうでしょうか?

小出さん
私もその考えに完璧に同意します。これまで日本では1年間に1ミリシーベルトという基準を決めまして、それ以上の被ばくはさせないと国が法律で書いてきたわけですが、事故が起きてしまったらもうすぐにそれを撤回してしまって20ミリシーベルトまでは安全だということを言っているわけですね。

そんなことはありえないのであって、もし1ミリシーベルトを超えて被ばくをさせるというのであれば、一人ひとりに決定権を与えるべきだと思います。

井戸川:
はい、そうですね。私はもう常にそう思ってまして、電離則を調べたり、あるいは、1ミリシーベルトはどこで決めたんだ、というところの決めたところまで調べて…。そして私は、細野環境大臣の時に、あの時の事故収束担当大臣でしたか…、「双葉町はチェルノブイリ法でいきますよ」と福島の復興再生協議会の場で、経産大臣も、復興大臣も、福島県知事も、あるいは、副知事、全体がいるところで私が言ったら、細野大臣は笑って答えなかったんですよ。

小出さん
井戸川さんのような方が双葉町の町長でいて下さったことを私は大変、嬉しく思ってきました。

井戸川:
ありがとうございます。まだまだ合理的な、普通に解決しなければならないものを隠蔽されていまして非常に困っています。後は、決定プロセスの中に、ヨーロッパでは被害者を参加させなさいというのが一般的なんですけれども、日本は非常に国家的に弱虫ですよね。

我々を参加させることができないぐらい、彼らは弱い嘘をついているということなんでしょうね。やっぱり、秘密保護法とリンクしますので、非常に私はあってはならない、日本の進む道としては逆行しているなと思っています。

小出さん
私もそう思います。

今西:
井戸川さんは双葉町の町長でいらっしゃって、双葉町には原発で仕事をしておられる方がたくさんいらっしゃいます。それで、原発の中で作業をされておられる方、事故前ですね、原発の作業員であっても20ミリシーベルトとか、16、17とか会社なんかで決めて作業していたわけですよね。

それを一般の人に対しても、原発作業員と変わらない年間20ミリシーベルトというのは信じがたい数字ですよね。

井戸川:
5ミリシーベルトで被ばくの保証対象になっていますよね。認められましたよね、この前、裁判で。だけど20ミリシーベルトという考えですね。考える方たちの頭の中を調べてみたいですけれども、要するに労働基準監督署がちゃんと原発事故の現場の検証をされているのかどうかというのが非常に疑問を持っているんですよ。そのうちなんかの機会で聞きたいと思っていますけれど。

労働基準監督署でなくて、私たち労働者じゃない一般国民が労働者よりも高い数値でいいなんていうこんな馬鹿なことを言う人間は排除していきたいなと思いますね。

今西:
そうですね。小出さん、本当にこの20ミリシーベルト、とんでもない数字だと思います。

小出さん
そう思いますし、先ほど、聞いていいただいたように一人ひとりにやはり決定権を与えるべきだと思いますし、特に子どもに対して20ミリシーベルトを許すなんてことは決して認めてはいけないと思います。



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